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つづくたねの野菜:つくり手・岩崎政利さんのお話〜「種市」

(2013年5月初頭の鞘たち)
4月末、吉祥寺で行われた古来種マーケット「種市」にて、カフェスローのレギュラーメニューとしてお出ししている「つづくたねのプレート」の在来種野菜の作り手、岩崎政利さんのお話を伺う機会をいただきました。
(つづくたねの野菜プレート!)

長崎県雲仙市吾妻町で農業を営む岩崎さんは、古来種・在来種の種を守り継ぐ方としては有名な方。まず、毎週お届けいただく野菜の育ての親、実際にお会いできての興奮!その他にも、食や農に関わっていらっしゃる錚々たる方々、早川ユミさん 奥津典子さん。そしてナビゲートにはwarmerwarmerの高橋一也さん。種からいのちを考える、贅沢でとても意義深い時間となりました。

(岩崎政利さんと早川ユミさん)

カフェスローメニュー「つづくたねの野菜プレート」の在来種・古来種野菜の作り手・岩崎政利さんのご紹介として、お伺いしたお話を中心に、綴らせて頂きます。


●●●・○・・●○

岩崎政利さんは1950年長崎生まれ。長崎県島原市、雲仙普賢岳の麓で農業を始めて30年目。農業高校を出て農業を始められました。当時は農薬・化学肥料が良いとされる時代。当然のようにそれらを使用していました。が、体調を崩し1年間以上寝たきりの生活を送る中で、寝床から、本当に正しかったのかどうかを見直されたそうです。
その過程で、「師匠は人間ではなく、自然」という気づきと想いを強くされ、自然の教えに導かれるように雑木林を再生されました。また、その風土に根ざした「種」、「在来種」ということに注目され、
野菜や土の持つ元々の力に寄り添った農法であれば農薬や化学肥料に頼る必要はないのではないかと、岩崎さんの自家採種が始まりました。


初めて種を採って育てた野菜は『黒田五寸人参』。
「最初は、美しい姿を求めて美人の人参だけ選んでいき、それから10年、形は美しいけれど段々と種が採れなくいいものもできなくなりました。そこで、男らしい人参も残すようにすると、種が増え良い人参も採れるようになっていきました。人間と同じで、野菜も多様性が大事だと気付き、そこから一本一本の人参の姿が見えるようになり、見えなかった世界が見えてきました」と岩崎さん。


「守り紡ぐ種との出会い」

黒田五寸人参をきっかけに種を守ることを始め、世界、日本の種交換会に足を運びつつ、種が岩崎さんの手元にやってきます。例えば、キャベツの原種である黒キャベツは、イタリア・トスカーナから。中国から継いだ紅芯大根は10年目にやっと美しいものが出来上がったそう。

「遠くから来た種こそ、その土地になじむのが時間がかかります。毎年もうやめようと思うのだけれど(笑)でもやめられない。守ることで、風土、人、畑になじみ、その力を発揮する。そこに種を守る意味があるのだと思います」と岩崎さん。

その他にも、岡山県から来た福立菜。”福が立つ”と縁起物のお野菜。また、原発事故の2年前、福島県のある方から受け継いだミニカボチャの種。「今、原発事故で農作業がままならない点があるが、こちらで守っていっていずれ還したいです」と岩崎さん。京都府の門外不出の伝統野菜の種で、想いとともに代々受け継がれているその様子、「種ってすごい!」と感じるとともにその種をくださいとはとても言えなかったそう。


(雲仙こぶ高菜)

在来種野菜には、その歴史と背景があります。

例えば現在畑で守られている大根は9種類。雲仙赤紫大根は女山大根のことで悲しい逸話があります。五木赤大根は、岩崎さんの一番好きな大根。平家大根は日本で一番古くからつづく大根で、源平の戦いで逃れた平家が山奥に作った歴史ある大根で今日までのその歴史は800年!先日、椎葉クニコさんという種を守り続けている方と一緒に50回目の種取りを一緒にしたそうです。「彼女との作業は守る意味を学ぶ50年でした」と岩崎さん。
椎葉さんが大事に守り続けている白い地きゅうりの種を欲しかったそうですが、その想いの強さになかなか言い出せなかったそう。そこでは、きゅうりを丸ごと網に入れ外に1年置いて種を採っていたそうです。最後には種を頂けたんです!と嬉しそうにお話しされました。

岩崎さんの家でも、里芋・つくね芋・まくわうり・土芋などが代々守られてきたものがあります。でもそんな中でつくね芋の種はこないだ途絶えてしまったそう。気候の変化によっていきられない在来種もあることの現実。

(ねぎぼうず)

今、岩崎さんが大切にしていることは、”どこにでもある種を守ること”。その土地のおじいちゃん、おばあちゃんが「美味しいから」と文化、風土、想いと共に代々守ってきた種。しかし、受け継ぐ人がおらず守っている人が亡くなると共にその種たちも途絶えてしまう。それはもったいないことと取り組む岩崎さんのところには、色んな種が集まってくるんだそうです。

また、「美味しいからこれからも是非!」と作った野菜を食べる消費者の感動によって、守る種もあるそう。また、種の交換会などで在来種の種を物々交換することもあるそうです。現在岩崎さんの畑では80種類の野菜を作られているそうでそのうち60種類が在来種野菜だそう。

「人からもらう種だから、守るんです」

そんな経緯を経てやってくる種。「それは、単なる種じゃなくて、その土地と先人の暮らし、文化、想い、人生が詰まっている種、そこに在来種の素晴らしさがある」とおっしゃっていました。その詰まっているものの素晴らしさ、敬意を払いながらそしてその想いを受け継いで行かれます。

(黒キャベツの鞘)

「種を採る」=「鞘をあやす」

人と種(作物)は、犬や猫と同じで、長く付き合っていくほど様々なことがわかります。
岩崎さんは、種を採ることを鞘をあやすといいます。それは、子どもをあやすのと同じように真心込めて様子をみながら、だそうです。
野菜によって採取の仕方は異なり、触ったり、木の棒でたたいたり、足で踏んだり、種類によっては軽トラックでひいたりもするそうです。

種をとるための野菜の選別のポイントは、「自分の目で、多様性を持ちながら、毎年同じものを」。その基準は守ってきた人々の想いや特性(原種本来の姿)だそう。守る人によって変わっていく、それが、在来種の持つ力、多様性なんだそうです。

「野菜は、作り手の期待に添うように馴染もうとするので、作り手が選別を迷ってしまうと、野菜もどのようになったらいいか迷ってしまいます。また、甘やかして有機物を沢山あげたりすると、鞘は沢山つき、大きな野菜も採れるけれど、アブラムシがついたり、風で倒れやすくなったり、種が弱くなってしまうんです。厳しく育てると、鞘は少なく野菜は小さいが、よい種が採れます。可愛い子には旅をさせろ、でしょうか。その種が土地に馴染めば野菜は大きくなります。」売るためではなく、のこしていくための活動。

(日野菜かぶの鞘)

「種は人によって守られます」

「種は人によって守られます。種は人。どう絶やさないか、どう託していくか、どう人を育てていけるか、これからはそこに力を入れて行きたい。」と岩崎さん。いずれ託さなければその種は途絶えてしまう。保存(貯蔵)はできるが、貯蔵した種では気候風土に弱いんだそうです。種を畑の中で守っていくことに力を入れていきたいとおっしゃっていました。


(かつお菜の花)

農業とは美しいと心動かされること」

人参の花が満開になると、沢山の虫たちがやってきます。それが、生物の多様性。網をかける人も多いが(純粋な種にするため)岩崎さんはしません。交雑したものは手で引き抜けばいい、と。
種の収穫期には、野鳥が種(鞘)を食べてしまう、これは種の栄養価が高い証拠なのでしょうねと笑って話される岩崎さん。収穫時期の見極めが大事なんだそう。

在来種の野菜を作り始めて10年目くらいで、精一杯つける、畑一面に咲いた野菜の花を見て、「色んな虫をおびき寄せることができる花。野菜が神になった!野菜に神が降りた瞬間!」と心底美しいと感じたそうです。それまでは「自分が守ってあげている」と野菜を下に見ていた部分もあったと岩崎さん。その瞬間からは立場が逆転して野菜がいのち(神)になったといいます。

野菜の一生の中で最も美しいと感じていた花。しかし野菜の一生を見守り続ける中で、本当の美しさは、葉も枯れ、根も枯れ、子孫を遺すためだけに何とか立っている、その姿。種をしっかり残して枯れていく姿こそが野菜の一生の中で一番美しい姿だと感じたそうです。


「種を守っている人々の多くは年配の方々で、毎年「最後にする」と言っています。在来種は、とても沢山の長所と短所があります。不揃いで、生きる力が強く、柔らかく美味しい、なじむまで10、人が知るまで10年。想い、人生をかけて守り切ったらそれが伝統野菜になる!」と岩崎さん。

帰り際、握手させて頂いたときの、細くてしっかりとそれでいて優しい岩崎さんの手が非常に印象的でした。岩崎さん、”種市”を主催された皆様、貴重な機会を本当にありがとうございました!
 

(2013年5月下旬)

●●●・○・・●○

岩崎政利さんのお話を聴いて

「在来種の野菜を毎年作り続け、そして代々守り紡ぎ続けることは、想像を絶する大変さで、作り守っている方が大半が年配の方なので、今日もどこかでそのいのちの紡ぎが途絶えた野菜があるかもしれません。市場に出回る一般的に知られている野菜は、野菜の種類から考えればほんの一握りで、本来ならば同じものでも地域・気候によって形・味が違って当たり前のはずです。

自分の体や心をつくる食べもの。岩崎さんの野菜を食べると元気が出ます。お話を聞く中で、岩崎さんが長崎の畑からご持参頂いたという大根の花束。先にはたくさんの鞘が。初めて食べた大根の鞘は、ギュッとパワーが詰まっていて、そして大根の強い味がしてとても美味しかったです。文化、人、風土を守り紡いできた種。その種の存在は、私達人間のこれまでの暮らしと生きてきた証そのものなのかもしれません。

そんな種にもっと近づき、実感するために今できることとして、まずはプランターで育てて野菜の一生を知ることにしました。毎日、成長が楽しみで、間引く芽も食べるのが楽しみです。育っていく過程の全てが食べられるということに今回気が付きました。私と同じように、野菜の花や鞘などが食べられることや鞘自体を見たことがない方も多いと思います。種を守り続ける人々の想いと共に、身近なところから色々な人に伝えていきたいです。

岩崎さんから、様々な野菜の物語、実体験を聞き、毎日キッチンで向き合う野菜に親近感が沸き起こりました。日々の料理を作るとき、野菜から想いが伝わってきて、少しも無駄にしたくない、大切に美味しく、という気持ちが強まっています。
奥津典子さんの言葉『食べ物はいのち、食べるもので人は変わる、環境は変わる』
早川ゆみさんの言葉『自分も種だった』
これからいのちを次の世代につなぐであろう自分たち、23日前に食べたもので私たちの体はできている、食を見直す良いきっかけになりました。
これから、種を守り紡ぐ一員になっていきたいです。

(関口さやか)

(岩崎さんとスタッフで記念の1枚!)

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■「つづくたねの野菜プレート」 詳細こちら
「種市」4/27(土)28(日)開催公式ウェブサイト <☆>

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□『 たねと食のおいしい祭 』2/17(日)開催アルバム&レポート!
 ・マルシェ&飲食ブース(第一部) こちら
 ・ワークショップ(第一部) こちら
 ・ワークショップ 盒彊賁蕕気鵑里話 こちら
 ・ワークショップ Seed of life ジョン・ムーアさんのお話 こちら

 ・「たねの祝」(第二部)こちら
 ・「たねの祝」パーティメニュー(第二部)こちら

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