HOME >> 日々雑記(新着情報・スタッフブログ)

「こめとさけ」◆たねと暮らしの教室2時限目:『たねと食のおいしい祭』

ネットワーク農縁 高橋保廣さん × 寺田本家 寺田優さん



はじめに、お二人は、たねと食のおいしい祭に、第一回開催から毎年中心的にご参加頂いている方です。高橋さんは山形県新庄市でさわのはなという在来米を育て、大豆に関しても遺伝子組替え大豆の反対活動をトラストで長年行ってきている筋金入りの方。会場であるカフェスローのお米は高橋さんのさわのはなで、本当に長い繋がりを持っています。
そして、寺田本家もまた自然酒の作り手として不動の存在感を持つ蔵ですが、その原料米選びにも亀の尾や中手神力など、伝統品種や土地の在来米も使っています。それは先代から寺田優さんの代でも引き継がれているのです。

世界各国、農業や一次産業は祭りと切り離せませんが、このお米農家さんと、お酒の蔵がこの「たねと食のおいしい祭」の大黒柱と梁のような関係であると改めて思うのです。第一回目の交流会「たねの祝」で、その日話す番の無かった寺田優さんに、「種にもこだわる酒蔵として、一言お願いします」と耳打ちしたところ、返ってきた答えは「僕なんかより、(高橋)保廣さんの話をもっと。」そこで貰った課題を、とうとう第三回である今回、お二人の対談という形で迎えらました。奇しくも日本の農業に暗雲立ちこめるTPP成立の目前。全国平均のお米の買い取り価格一俵(60 kg)当り12,500円から、8,500円への大暴落があり、日本の象徴のようなお米に暗雲立ちこめる今、そしてこの数年、米の斜陽と反比例するような形で存在感を増して来ている日本酒とのうねりの中での対談になりました。

今回の対談には一つの仕掛けになっている小道具があります。それはゲストの方の食卓や献立の写真。



◯高橋保廣さんの食卓
その写真には2人の御孫さんが写っている団らんの一コマ。食卓に並ぶご飯や、お味噌汁の味噌などは自家製のもの。
この写真を紹介してくだった保廣さんは、この食卓はご自身のお母様と、息子さん夫妻、そして御孫さんの4世代の食卓ですと紹介してくださいました。いま4世代の食卓とはどれくらい残っていることでしょうか?むしろ進んでその食卓の風景を手放してきた現代があると気づかされます。保廣さんはお母様がひ孫さんをかわいがる様子をもう言葉も無いとお話されました。またひ孫さんにとってもひいおばあちゃんはそのように愛おしい存在だそうです。高齢化と言われる社会、そしてその状況が深刻だと言われる農村部で世代が残るということは、高齢化ではなく、世代ごとの分化が問題であって、世代が繋がる慈しみのある風景を気づかされるのです。

◯寺田優さんの食卓
知人がやってきてちょっと良い食卓と紹介された食卓には、近所の仲間の有機農家さんが作った美しい新鮮そうなピンと張った野菜やその漬け物、その野菜をつけて食べる酒粕で作ったディップ、地元のお米のおにぎり、そして、近所の仲間でもあるおいしいと話題のお豆腐屋さんのお豆腐などが並びます。近所の繋がりというものがよく現れた献立でした。
今度はここからは地域が見えてきます。地域の繋がりがあって農業が進む、地域が進む。かつて有機農家さんになるという事のハードルの高さがあり、村八分になるという話すら聞いていましたが、地域の有機農家さんたちや豆腐屋さんと繋がり、それが地域外の人へも価値を伝えてゆける寺田さんならではの食卓であること。お米を削って出る糠で漬け物をつけ、酒を絞れば酒粕を無数の料理に応用していく。お米の余さない頂き方も改めて暮らしの一コマでご紹介頂けました。


いま、米価が暴落したが

この問いを、保廣さんに向けてみました。深く頷いた後、保廣さんの地域に先日韓国からの視察団がやってきたとお話されました。アメリカとFTA(自由貿易協定)を結んだ韓国の農民などがTPP間際の日本の生産地に視察に来たそうです。「日本はどうするんだ。」それが韓国の方の疑問だったようです。我々にも突きつけられます。韓国はその後、昨年の11月に中国とのFTAも締結したと聞き、他国から安価な農産物が大量に輸入される状況が訪れます。破壊的な状況が農村部では起きてくる。 そして、「農村が破壊されれば、みなさんはどうします?」という保廣さんの問い返しがありました。「東京に数日来ているが、とってもくたびれます。誰も誰へももちろん私へも関心を持たないで暮らしています。目を見て相手がどういう状況か思いやることが出来ないようです。無関心なんです。震災以降被災地支援の活動をずっと続けているけれど、仮設住宅から出たお年寄りが私のところに相談の電話をしてきます。そして、高齢になって家を建てることへの不安で涙を流すんです。そういう人たちがいることを、そういう人たちの思いがあるのに、東京の人は本当に無関心に感じます。それがくたびれるんだと思います」とおっしゃっていました。先ほどの4世代の団らんの話があり、集落の寄り合いの話もでました。そこではお酒を酌み交わしながらとるコミュニケーションがあり、膝を付き合わせて目を見て、腹から話すのだそうです。それが地域社会であり、お酒を呑むという事はそういうことだとおっしゃっていました。お米作るということ、一緒にお酒を呑む、一緒にご飯を食べるということが、エネルギー補給というだけでなく、人と人が生きるための重要な時間であると改めて教えて貰えました。  


日本酒を呑む人が増えている訳

また寺田さんには、そんなお米農家さんの厳しい情勢がある中で、日本酒とくに純米酒が増産傾向になっていることについて理由を聞いてみました。寺田さんは「オシャレな飲みものになってきた。前までは、田舎の親父がくだまいて悪酔いするイメージだったのに、今はワインのように楽しめる飲みものに変わってきた。それはワインの楽しみ方が関係していると思います」とおっしゃっていました。お酒と食事を一緒に楽しむ文化はもしかしたら有りそうでそう無かったのかもしれません。


会場に訪れた方にはとっておきの(秘密の)お酒が振る舞われ、そのお酒を醸した方のエピソードや、醸し方、そのお酒作りの伝統や、揺るぎない想いが紹介されました。客席からはそのお酒の作り方を尋ねる一幕もありました。


対談を終えて

日本酒がおいしいから呑む、お米がおいしいから食べる。それが中心であってもちろん良いと思います。ですが、今回伺えたのは、お米の作り手、そしてお酒の造り手であるお二人自身の、そのお米、お酒の楽しみ方、楽しみ方=家族であり、地域の仲間との暮らし繋がりであること。 そして、高橋保廣さんの東京の人への投げかけ「農村が破壊されれば、みなさんはどうします?」。今後の大きな宿題となりました。 

〔report Hiroshi Tomiyama photo:アースデイマーケット写真部〕






ブログ内を検索

カレンダー

  12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  
<< August 2017 >>

最近の投稿一覧

カテゴリー

これまでの投稿

カフェスローおすすめ書籍・音楽

カフェスローおすすめ書籍・音楽

カフェスローおすすめ書籍・音楽

カフェスローおすすめ書籍・音楽

カフェスローおすすめ書籍・音楽

リンク

プロフィール

mobile

qrcode

その他